配偶者の海外転勤のために退職した駐在妻。雇用保険(失業手当)が貰えます!

駐在妻の中には、配偶者の海外転勤に同行するため、退職して海外へついて行くことになったという方が多いと思います。

実は、配偶者の転勤を理由に退職しその後すぐに海外に行ってしまう場合でも、失業手当を貰える可能性があります。
失業手当や、受給期間延長の手続きについてをご紹介します。

失業手当について

健康保険や厚生年金保険と同じように、公的保険制度の一種で、正式には「雇用保険」と言います。
保険料は毎月の給与から天引きして納められています。

失業したり、自己都合で退職した場合、条件を満たせば「基本手当」と呼ばれる給付金を受け取ることができます。

雇用保険(基本手当)は、失業された方が安定した生活を送りつつ、1日も早く就職していただくために給付するものです。

引用:厚生労働省  Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html

失業手当の給付を受ける条件

失業手当の給付を受けるには、大きく二つの条件があります。

  • ハローワークの定める「失業状態」であること
    ハローワークの定める「失業状態」とは以下の通りです。

失業の状態とは、次の条件を全て満たす場合のことをいいます。

・積極的に就職しようとする意思があること。
・いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること。
・積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと。

引用:厚生労働省  Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html

再就職を目指す方を支援する制度なので、例えば退職後、家事に専念する方・次の就職先が決まっている方などは給付を受けることはできません。

配偶者の海外転勤に同行するため退職したが、帰国後は再就職したいという駐在妻も対象になります!

  • 原則として、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上あること
    ただし、倒産・解雇等の理由により離職した場合、その他やむを得ない理由により離職した場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あること。

ごく簡単に言えば、雇用保険に加入している会社に、退職前の2年間のうち12ヶ月間以上勤めていればOKです。

給付される金額

離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。

引用:ハローワークインターネットサービス 基本手当についてhttps://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html

また、基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額と下限額が定められており、毎年8月1日に改定されます。2022年8月の改定では次のとおりとなっています。

離職時の年齢基本手当日額の上限額
30歳未満6,835円
30歳以上45歳未満7,595円
45歳以上60歳未満8,355円
60歳以上65歳未満7,177円
(2022年8月時点)

実際の計算方法は以下のようになっています。

(2022年8月時点)
引用:厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業保険)を受給される皆様へhttps://www.mhlw.go.jp/content/000968115.pdf

<例えば、離職時の年齢が30歳、賃金日額が12,000円の人の場合>
0.8× 12,000ー0.3{(12,000-5,030)/7,350}12,000≒6,186
30歳の上限額である7,595円にも収まっていますので、1日あたり、6,186円を貰える計算になります。

給付される期間

原則として、離職した日の翌日から1年間

受給期間延長申請

ただし、給付される期間(離職した日の翌日から1年間)の間に、下記の理由で働くことができない状態が30日以上続いた場合、受給期間の延長をすることができます。

  • 妊娠・出産・育児などにより働くことができない
  • 病気や怪我で働くことができない
  • 親族等の介護のため働くことができない
  • 事業主の命により海外勤務する配偶者に同行 
  • 青年海外協力隊等公的機関が行う海外技術指導による海外派遣
  • 定年等により退職し、しばらくの間休養する

失業手当の給付を受けるには、前提として日本に住所を有している必要があります。
そのため、配偶者の海外転勤に同行する場合には、帰国後に失業手当の給付を受けられるよう延長申請をすることが可能です。

延長できる期間

最大3年間延長可能。
もともとの受給期間が1年間なので、最大で4年間まで延長可能ということです。

働くことができなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。
延長できる期間は最大3年間です。(給付日数は増えません。)

ハローワークでいただいた書面より

4年以内に本帰国できる予定ではなくても、予定よりも早く帰国になる場合もありますので、念のために手続きを取っておくのがおすすめです。

申請場所

出国直前の住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
全国のハローワーク所在地

申請期間

出国日から30日経過後、早期にに申請。
出国日より自身の退職日が後の場合は、退職日の翌日から30日経過後、早期に申請。

申請が遅い場合、所定日数の全てを受給できない可能性があります。

必要書類

  • 「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請書」
     (申請当日または郵送でハローワークから入手)
  • 「離職票ー2」(原本)
     (勤め先から入手)
      ※勤め先から入手する離職票は「−1」と「−2」があります。
      「−1」はここでは使いませんが、帰国後受給申請をする際に必要になります。
      大切に保管してください。
  • パスポート
     日本を出国時のスタンプ必須
  • 配偶者の転勤辞令、又は転勤証明書
     (配偶者の勤め先から入手)
     赴任期間、赴任先の確認のため。
  • 世帯の住民票か住民票の除票、又は戸籍謄本
     配偶者と申請者の続柄確認のため。
  • 返信用封筒(郵送の場合のみ)
     後日「延長通知書」「離職票」の送付を受けるため。
     封筒の宛名は日本国内の住所にすること。

私の場合、転勤辞令・転勤証明書はなかったのですが、ハローワークで担当者と相談し、夫の出向先法人との雇用契約書で受理してもらえました!

終わりに

私も先日ハローワークで延長申請の手続きをしてきました。
ハローワークは皆さん親切で、細かいことも丁寧に教えていただき大変助かりました。

また帰国後に受給申請をする際は、働く意思を示すため、少なくとも一度は職業訓練を受ける必要があるそうです。

受給期間延長の手続きは、出国後30日経過後から早期に申請と定められています。
出国前には手続きができず忘れてしまいそうですが、一時帰国等を利用して忘れずに手続きをするよう注意が必要です。

なお、手続の詳細などについては、管轄のハローワークへお問合せください。
全国のハローワーク

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